「よもやま日記」//身の回り出来事や心に浮かんだ独り言、お気に入りのもの、日常の風景を切り取った写真などなど、思いつくままに書いてます。

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2014/03/22 (Sat) スチールパンに秘められた民族の誇り

そのような楽器があることを、何となく知ってはいたけど、3月20日の地球イチバンの放送を見てその素晴らしさを知った。

カリブ海の小さな島、トリニダート・ドバゴ共和国の国民的な楽器。これはドラム缶から作られる楽器だ。
この楽器の誕生は、20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明と言われているが、作る過程が面白い。
ドラム缶の蓋部分を木槌で叩いて、お椀のように窪ませ、さらにそのお椀部分を細かくブロッキングした上でより更に小さいくぼみを持たせることで、音階を作る。バチで叩くと、共鳴して何とも言えないいい音がする。

ドラム缶の筒部分を短くすると高い音を出し、長いままだと音色の低い楽器、いわゆる「バス」になる。
ソプラノからバスまで、様々なスチールパンがあり、組み合わせて合奏をすると圧巻だ。
学生から社会人まで楽しそうに演奏する姿を見て、こちらも楽しくなってくる。

しかし、その底抜けの明るさの裏に隠された苦難の歴史がある。


ichiban_01s.jpg
トリニダード・ドバゴの美しい眺め


15世紀、トリニダート・トバコはコロンブスにより発見されて以来、アフリカから多くの奴隷が連れてこられた。
その後、イギリスの植民地となり、多くの奴隷たちは厳しい労働の慰めに、島にある材料を使ってパーカッションを作りそれを叩いていたが、魂の高揚により政府に反逆を試みることを恐れたイギリスがこれを禁じる。
住民は、今度は竹を切って「タンブーバンブー」という楽器を作り出したが、20世紀に入り、道路を傷つけるという理由から、またもやイギリス政府はこれを禁じた。
楽器の演奏を禁じられたも、彼らは音楽をやめることはできなかった。警察の目を免れて抵抗を続けた。
貧困地区のラヴァンティルでは人々が鉄くずなどで楽器を制作し、演奏することで鬱憤を晴らそうとしていた。
そんな時に石油が産出され、人々はプラントから、もらい受けたドラム缶で楽器を作った。それが、「スティールパン」だ。


ichiban_03s2.jpg
音楽は生きることそのものという島の人々


トリニダード・トバゴでは世界最大のドラム缶音楽コンテスト「パノラマ」が開催されいて、2月に行われる大会が近付くと有力なチームが毎晩深夜まで練習を重ねていく。
街では、貧しさから犯罪が絶えないが、取材のあった日も突然、銃声が響いて練習が中断させられた。
それでも彼らは練習をやめようとはしない。銃声が収まると、その演奏は一段と明るさを増していった。
そこには、何者も自分たちの音楽を妨げることはできない、という強い信念があった。
「音楽が守ってくれる」「音楽を続けている限り弾は飛んでこない」といった言葉が口々に飛び出すのが印象的。
音楽にかける真摯で真っ直ぐな思いが伝わってくるようだ。

ただ、単に音楽が好きというだけではなく、そこには民族の誇りや悲しみや抑圧を乗り越えて生き抜こうとする力強さがあった。

ichiban_02s.jpg

番組のナビゲータであるミュージシャン浜野謙太氏は、かつて東日本大震災の時に、音楽をすることに罪悪感や葛藤を味わったことがある。
音楽に命を懸けているような彼らなら、どうしただろう。そんな疑問を最後にぶつけたのだが、その時のシンプルな答えが印象的だった。
「自分たちもそんな時には音楽はやらない。大勢の人が亡くなって生きることも大変な時に必要なのは音楽じゃない。でも1か月もたてば、再び音楽を始めるだろう。人生には悲しみがつきものだが、それでも俺たちは前へ進まなくては行けない。そのために音楽が必要だ。」

背負った歴史や人種が違っていても、人は同じなんだと思った。
この誇り高き、カリブ海の島国をいつか訪れてみたい気がした。

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Author:つき
普段は虎を肴に大好きなお酒を楽しむオヤジ系。かつては米(米米CLUB)を追いかけ、今でもコンサートには顔を出す。さらに歌舞伎や時代劇を愛し、手ぬぐいをコレクションし、和菓子屋やスイーツにも目がない。茶道をちょっとだけかじり、日本文化のキーワードには反応してしまう。身体を動かすことは得意でないけど、タイガースと職場の陸上チームを応援してます。

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