「よもやま日記」

身の回り出来事や心に浮かんだ独り言、お気に入りのもの、日常の風景を切り取った写真などなど、思いつくままに書いてます。

勘三郎さん

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あまりに悲しい報せが届いた。12月5日未明、18代中村勘三郎さんが天国に旅立たれた。
調子が良くないという記事などを目にして心配していたのだが、エネルギッシュな人だから病をはねのけてくれるに違いない。そう信じていた。信じたかった。
だって復活してくれなくては困るもの。もうあの舞台を見ることができないなんて、そんなことは考えられない。
それなのに、懸命の治療と多くの人々の願いも空しく、稀代の名俳優が帰らぬ人となってしまった。
彼を失った喪失感は半端ではない。歌舞伎界は太陽を失ってしまったようでこれからどうなってしまうのか。勘九郎の襲名公演に列座叶わず、来春の歌舞伎座こけら落としに彼がいないなんてことがあるだろうか。歌舞伎の神様も随分なことをなさるものだと思う。

私が初めて生の舞台を見たのはまだ勘九郎を名乗っていた時、孝夫さんが仁左衛門を襲名する襲名興行だった。その当時すでに名俳優の名声がとどろいていた勘九郎さん。私は何よりも彼の、客の喜ぶ顔を見るのが何より嬉しい、という心の声がビシビシ響いてくるような演技にすっかり魅せられた。
その後、平成中村座やコクーン歌舞伎などを見に行ったが隅々にまで彼の熱意と工夫とサービス精神に満たされていた。彼のエネルギーというか魂というか得体のしれない力が会場中に渦巻いて、見ている私の体の中にドーンとなだれ込んできたようだった。

特番の中で印象的だったのは、関三郎襲名が決まり、勘九郎として最後の歌舞伎座の舞台を終えた夜、劇場を去る勘九郎を裏方さん全員が奈落で待ち構え、熱烈な拍手、手拍子で送り出すところの映像だった。それを見ながらまだ勘三郎さんが生きているような気がしてきた。
彼を送り出すには、湿っぽい涙よりも熱烈な拍手の方が似合っている。
それにしても、一度でいいから叫んでみたかった。「中村屋っ!!」と……。

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